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Zamaとは? $130M調達プロジェクトの概要、エアドロップの狙い方

Zamaとは? $130M調達プロジェクトの概要、エアドロップの狙い方

データを暗号化したまま計算できる革新技術「完全準同型暗号(FHE)」。この技術の実用化を目指すプロジェクト、Zama(@zama_fhe)が業界の大きな注目を集めています。

既に1億3,000万ドル以上を調達し、評価額10億ドル超えのユニコーン企業となったZamaは、ブロックチェーンとAIにおけるプライバシーの課題を根本から解決する可能性を秘めています。今回は、この巨大プロジェクトの全貌と、エアドロップ狙いでできることについて詳しく解説します。

Zamaとは?

Zamaは、暗号技術の「聖杯」とも呼ばれる完全準同型暗号(FHE)を、誰もが簡単に利用できるようにするための基盤技術を開発するプロジェクトです 。

これまでの暗号技術では、データを「保管」したり「転送」したりする際の安全性は確保されていました。しかし、データを実際に「使用」する際には、一度暗号を解く(復号する)必要があり、この瞬間が情報漏洩の大きなリスクとなっていました 。

FHEは、この問題を解決します。データを暗号化したまま、足し算や掛け算といった任意の計算を実行できるのです 。これにより、サービスの提供者(例えばクラウド企業やブロックチェーンのノード)でさえユーザーのデータを見ることなく処理を行う、「ゼロトラスト」な環境が実現します 。

Zamaの主力製品である「fhEVM(Fully Homomorphic EVM)」は、このFHEの機能をEthereumなどの既存ブロックチェーンに導入するためのものです 。開発者は、使い慣れたSolidityといった言語で、プライバシーが保護されたスマートコントラクトを構築できるようになります 。

これは、ブロックチェーンの透明性と、個人のプライバシーという、これまで両立が難しかった課題を解決する画期的なアプローチです。

Zamaの主な特徴


Zamaが他のプロジェクトと一線を画す強みは、以下の3点に集約されます。

1. 世界トップクラスのチームと技術的優位性

Zamaの最大の強みは、その頭脳明晰なチームにあります。CEOのRand Hindi氏は、過去にAIスタートアップをSonos社へ売却した経験を持つシリアルアントレプレナー 。そしてCTOのPascal Paillier氏は、今日の暗号技術にも広く利用される「Paillier暗号」の発明者本人であり、この分野における世界的権威です 。

この2人を中心に、96名もの専門家が集結しており、そのうち37名は博士号取得者という、まさに頭脳集団です 。この「人材の堀」は、競合他社が簡単に真似できない強固な参入障壁となっています 。

彼らが開発するTFHE(トーラス上の完全準同型暗号)を基盤とした技術は、すべて特許で保護されており、オープンソースで公開しつつも商業利用にはライセンスを必要とする独自のビジネスモデルで、収益性と技術の普及を両立させています 。

2. 盤石な財務基盤とトップVCからの信頼

Zamaは、その将来性を高く評価され、これまでに合計で1億3,000万ドルという巨額の資金調達に成功しています 。

  • シリーズA ($73M): Multicoin CapitalとProtocol Labsが共同でリード 。
  • シリーズB ($57M): Pantera CapitalとBlockchange Venturesが共同でリードし、評価額は10億ドルを突破。世界初の「FHEユニコーン企業」となりました 。

特に、暗号資産分野の著名VCであるPantera CapitalやMulticoin Capitalが名を連ねている点は重要です 。

投資家の1社であるBlockchange Venturesは、Zamaを「Ethereum以来、最も基礎的な技術」とまで評しており、内部からの強い期待が伺えます 。

3. 競合を顧客に変える巧みなエコシステム戦略

Zamaは、自らが新しいブロックチェーン(L1やL2)になるのではなく、既存のチェーン上に「機密性レイヤー」を提供するという賢明な戦略をとっています 。これにより、Ethereumなどが持つ巨大な開発者コミュニティやユーザー資産を直接活用できるのです 。

この戦略の好例が、具体的な導入実績です。

FHE技術を利用するプロジェクトである「Fhenix」や「Mind Network」は、Zamaの技術基盤の上に成り立っており、競合ではなく顧客・パートナーとなっています 。

さらに特筆すべきは、巨大なコミュニティを持つ「Shiba Inu」との提携です 。Shiba Inuは、Zamaの技術を用いてプライバシーを重視した新しいL3チェーンを構築しています 。

この提携により、Zamaは数百万人の潜在ユーザーに一気にアクセスでき、新しい技術が直面する「誰も使ってくれない」という問題を回避し、大規模な実証実験の場を確保しました 。

エアドロップの狙い方

ライトペーパーに$ZAMAトークンの存在が明記されており、2025年末に予定されているメインネットの開始に合わせてトークンを発行することが予想されます。

現時点でZamaチームからエアドロップに関する公式発表はありませんが、7/1にテストネットが開始されたことから、初期の貢献者に向けたエアドロップが期待されます 。

私たちがエアドロップを狙って具体的にできるアクションは以下の通りです。

  1. テストネットを触る

これらの基本的な操作が、エアドロップの重要な条件になると予想されます 。現在、解放されている機能が限られているため、徐々にやるべきことは増えてくるはずです。

  1. guild.xyzでロールを獲得する
  • Guild.xyz:https://guild.xyz/zama
  • 手順: ウォレットを接続し、Twitterのフォローなど、指定されたタスクを完了して、Discordのロールを獲得します 。

こちらは誰でももらえるロールに限らず、“Creator Program”や“Developer Program”など、報酬プログラムに対応したロールも存在します。

たとえばCreator Programは毎月のトップ100名での報酬の山分けもあるそう。ちゃんとルールを読んでいる人が少ない初期はチャンスあるかもしれません。

参加者数が可視化されているので、過熱状況を見つつ参加すると効率がよさそうです。

リスクと注意点

Zamaは有望なプロジェクトかつ無料でエアドロップ活動ができますが、時間が無駄になるリスクはゼロではありません。

  • パフォーマンスの課題: FHEは本質的に計算が重く、現状では通常の計算より大幅に時間がかかります 。この速度問題の根本的な解決は、Zamaが開発を進めている専用ハードウェア(ASIC)の成否に大きく依存しており、これが最大の不確実性です 。
  • 技術の複雑性: FHE、MPC(複数当事者計算)、ZK(ゼロ知識証明)を組み合わせたシステムは堅牢である一方、非常に複雑です。この複雑さが、予期せぬバグや脆弱性を生む可能性も否定できません 。
  • 代替技術との競合: ZamaはFHEのリーダーですが、高度なZK証明システムのような他のプライバシーソリューションが進化し、同じ問題の一部を解決する可能性がある。

これらのリスクは認識しつつも、プロジェクトの壮大なビジョンとポテンシャルを考慮する必要があります。

まとめ

今回の内容を3つのポイントでまとめます。

  • 聖杯技術の実用化: Zamaは、データを暗号化したまま扱える「FHE」技術のリーダーであり、Web3におけるプライバシーのあり方を根本から変える可能性を秘めています。
  • 圧倒的な優位性: 世界トップ級のチーム、1.3億ドル超の潤沢な資金、Shiba Inuとの提携など、技術・資金・市場戦略の全てにおいて強固な地盤を築いています。
  • エアドロップ活動の好機: 2025年末と噂されるトークン発行に向け、始まったばかりのテストネットに参加することで、将来のエアドロップを得られる可能性があります。

Zamaが目指すのは、単一のアプリケーション開発ではありません。彼らは、プライバシーが標準装備された未来のインターネットそのものを構築するための「つるはしとシャベル」を供給しようとしています 。

技術的なハードルは高いものの、もし成功すれば、その影響は計り知れません。長期的な視点で、その動向を追いかける価値のある大型プロジェクトと言えるでしょう。

参考資料