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Flying Tulipとは? $200M調達プロジェクトの”元本保証”セールがおもしろい

Flying Tulipとは? $200M調達プロジェクトの”元本保証”セールがおもしろい

「DeFiの父」と呼ばれるAndre Cronje氏が、新たなプロジェクト「Flying Tulip」を始動させました。既に$200Mもの資金調達を完了し、その新しい仕組みに大きな注目が集まっています。

本記事では、この次世代金融プラットフォームの全貌と、投資家にとっての魅力、そして参加戦略について解説します。

Flying Tulipとは?

Flying Tulipは、著名な開発者であるAndre Cronje氏が中心となって開発を進める、フルスタックのオンチェーン金融プラットフォームです。

現在のDeFiは、DEX、レンディング、パーペチュアルなど、サービスごとにプロトコルが分断されています。これにより流動性が断片化し、ユーザーは複数のプラットフォーム間で資金を移動させる手間を強いられています。

Flying Tulipは、これらの機能を単一のクロスマージンシステム上に統合することで、この根本的な課題を解決しようとしています。 利用者は一つの担保資産を元に、現物取引、レンディング、保険、オプション取引まで、シームレスにアクセスできるようになります。

Flying Tulipの主な特徴

Flying Tulipが既存のDeFiプロジェクトと一線を画す、特に注目すべき3つの特徴を解説します。

1. 「DeFiの父」Andre Cronje氏と大規模な資金調達

このプロジェクトの最大の注目点は、Yearn Finance (YFI) の創設者として知られるAndre Cronje氏が率いていることです。 彼は、複雑なDeFiの利回り戦略を自動化するイールドアグリゲーターを世に広め、「DeFiの父」とも称される伝説的な開発者です。

その彼が満を持して送り出すプロジェクトということもあり、期待は非常に高く、シードラウンドではBrevan Howard Digital、CoinFund、DWF Labsといった名だたるVCから、既に$200M(約300億円)という巨額の資金調達に成功しています。

2. あらゆる金融取引を統合する「オールインワン設計」

Flying Tulipの核心は、これまでバラバラだったDeFiの機能を一つにまとめ上げた「統合性」にあります。

プラットフォームは、市場の状況に応じて最適な流動性供給を行う「適応型AMM」と、伝統的な金融取引所に近い「中央指値注文板 (CLOB)」を組み合わせた独自の取引システムを構築。

これにより、現物取引、パーペチュアル、レンディング、さらには保険まで、あらゆる金融商品を一つのインターフェース上で、しかもクロスマージンで利用可能になります。 ユーザーは資産を移動させることなく、非常に高い資本効率で多様な戦略を実行できるのです。

3. 「元本保証」を掲げた革新的なトークン設計

Flying Tulipは、トークンの販売方法と仕組みも極めてユニークです。

「Public Capital Allocation (PCA)」と呼ばれる公開セールで販売されるFTトークンには、「恒久的なプットオプション」が付与されます。 これはトークン購入者がいつでもFTトークンをプロトコルに返却し、支払った資産を償還できる権利のことです。

つまり、理論上は元本が保証される仕組みとなっており、価格下落のリスクが極めて限定的になります。

セール参加した場合にトークンがどう扱われるかを俯瞰した図

さらに驚くべきは、チームへのトークン初期割り当てが一切ない点です。 開発チームの報酬は、プロトコルが生み出す手数料収益を原資とした市場からのトークン買い戻しによって賄われます。

これにより、開発者とユーザーの利益が完全に一致し、プロジェクトの長期的な成長への強いインセンティブが生まれます。

Flying Tulipのセール情報

Flying Tulipでは、一般的なエアドロップは計画されていません。トークンを取得する唯一の方法は前述のセールに参加することです。

現在、Coinlist Alphaというクローズドなプラットフォームで一部のセール募集が開始しています。ただし最低金額は5万ドルからであることに加え、Coinlistを通しているため、手数料がかかる点が懸念。

ほかにも大規模なパブリックセールをおこなうはずなので、多くの方はそちらで参加するのがよさそう。だいぶ注目されているプロジェクトであることから、早押し力が問われるかもしれません。

※Andreはクイズを実施することを示唆していたので、プロジェクト内容を理解していることが有利に働くかも。

また、定期的に(?)公式アカウントがフォローバックをしており、これもセール参加の条件になる可能性も10%ぐらいあります。笑

セールについては、公式アカウントをフォローし詳細を待ちましょう。

2025/10/10 追記

Impossible Financeからセールの案内が出ています。こちらは手数料などかからないっぽいので、狙い目かも。

リスクと注意点

Flying Tulipは非常に野心的なプロジェクトですが、投資を検討する上で認識すべきリスクも存在します。

最大のポイントは、この記事を執筆している時点で、まだプロダクトがローンチされていないという点です。 構想は壮大ですが、その複雑なシステムを計画通りに、かつ安全に構築できるかはまだ未知数です。開発の遅延や、構想の一部が実現しない可能性も念頭に置く必要があります。

また、“元本補償”とされているセールでも問題が起きないとは限りません。もし資金を投じる場合は、このあたりのリスクを把握したうえで参加しましょう。

まとめ

Flying Tulipの要点を3つのポイントで振り返ります。

  • DeFiの第一人者が描く未来: Yearn Financeの創設者Andre Cronje氏が、分断されたDeFi市場を統合するために立ち上げた次世代金融プラットフォーム。
  • 元本償還権付きのユニークなセール: $200Mの大型調達に成功。購入者はいつでも元本を償還できる権利を持ち、下落リスクが限定的。
  • 壮大な構想と不確実性: 構想は革新的だが、プロジェクトは未だローンチ前。公開セールがトークンを取得する唯一の機会となる見込み。

Flying Tulipは、資金調達モデルからDeFiのアーキテクチャまで、あらゆる面で常識を覆す可能性を秘めたプロジェクトです。その壮大な構想が実現すれば、DeFiの新たなスタンダードとなるかもしれません。

しかし、現段階ではあくまで「計画」であるため、公式からの発表を注視し、慎重に情報を追っていく必要があるでしょう。

参考資料